そばにはいれないから。
「…………もしもし。」
携帯を耳に当て、そう言うと
『もしもし、咲良です。』
と咲良の声が聞こえた。
正直、少しだけ怖かった。
もし、この電話の相手が咲良じゃなかったらって
でも安心した。
声も結構元気そうだし。
「どうした?」
『なんか、声聞きたくて。』
「なんだよ、気持ち悪い。」
長い間付き合ってたけど、そんなこと言って電話してきた事なんてなかった。
『今日はごめんね、折角来てくれたのに。』
「そんなの気にすんな。体調大丈夫か?」
『うん、よく寝てスッキリ。』
いつも通りの会話に安心した。
「また明日行くから、早く寝ろよ。」
『毎日毎日来てくれるのは嬉しいんだけど、ちゃんと部活も行きなよ?大学で剣道するんでしょ』
今、咲良に会いに行くのを優先しててあまり部活には行けてない。
大学でももちろん剣道はするつもりだけど、今は剣道よりも大切なことがあると思ってる。