そばにはいれないから。



「失礼します。」

ちょうど準備ができたところで、やってきた誠也。


「お、ピッタリね。」

お母さんはそういって、あたしが乗った車椅子を誠也の方に向けた。


「どう?」

あえてドヤ顔で聞いてみる。


すると、誠也は一瞬息をのんで


「…………可愛い。」

と言った。


「えっ!?」

素直すぎて、びっくりした。

あたしが照れた。



「じゃあ行こうか。」

「うん。」


「気をつけてね。」

「楽しんできてね。」


病院の人たちに見送られて、あたしは病院を出た。



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