そばにはいれないから。
朝、すごく早く家を出た。
お母さんには、誠也と会うって伝えたけど、なんか全部分かってるみたいだった。
あたしが着いてしばらくすると、
「咲良。どうしたんだよ。」
いきなり昨日の夜のメールに驚いてる誠也がやってきた。
しかも、返信なかったしね。
「ん、ちょっとね、言いたい事あって。」
誠也は朝が苦手だから、ちょっと早く起きてここに来るの大変だって知ってる。
それでも、来てくれる誠也が好き。
「なんだよ、こんなとこで。」
口は悪いし、あたしの事チビとか馬鹿にしてくるけど、本当は優しい誠也が大好き。
大好きで仕方ない。
だけどね、もうそばにはいれないから、
あたしは嘘をつく。
なんて言ったらいいか、ずっと考えてた。
誠也はあたしの事、好きだから。
これしかないと思ったんだ。