そばにはいれないから。



授業が終わると、前の席の渚くんが後ろを向いて


「どうした?」

とあたしに声をかけてくれた。


このクラスの唯一の剣道部は、渚くん。


いつもほとんど声なんかかけてくれないのに、今日に限って声を掛けてくれる。


そんなひどい顔してるのかな、あたし。



「…………」


なんて言おうか考えてると、クラスのドアが勢いよく開いて愛が入ってきた。



「いたっ!!!!」


そして、あたしを見つけてあたしの方まで急いで走ってくる。



「誠也くんとなんかあったの?」


あたしの前までやってきた愛は第一声ちょっと声を小さくして言った。



「えっ?なんで。」


「1時間目の終わりらへんにさ遅刻してきたんだけど、すごい顔してた。泣いた後みたいな。あたし、あんな誠也くん見たの初めて。」


愛も誠也の事は中学から知ってて、付き合いは長い。


泣いてたか、、、あたしのせいだ、、、、。




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