そばにはいれないから。
『美藤山〜美藤山〜』
よし、ついた。
立った時に倒れたりしないように、しっかりと手すりを持って立ち上がって、電車から降りた。
電車から降りたらなんか体の力が抜けて
目の前がぐらぐらと揺れだした。
あ、待って、やばい。
あたしは急いで、近くの椅子の方に寄り、手をついて、地面にしゃがみ込んだ。
やだ、やだ、怖い。
ぐらぐらとするのが気持ち悪くて、目を閉じると
「咲良!咲良!」
と誠也の声が聞こえた。
なんで誠也?
と思って、目を開けると本当に誠也がいた。
「なんで、幻?」
「幻じゃねえよ。無理しすぎだ。朝から体調悪かったんだろ。」
そう言って、あたしの前にしゃがみ込む。
「なんで?」
「分かるわ、普通に。幼馴染兼元カレ舐めんなよ。」
誰にもバレてないと思ってたのに。