そばにはいれないから。





「バカも風邪引くんだな。」

「バカじゃないんです〜。」

いつも通り、いつも通り話せてる。


と思ったのに、


いきなり誠也が近づいてきて、あたしをギュッと引き寄せた。


「…………なに、どうしたの?」

「別に。」

本当に、素直じゃない。



「素直に寂しかったって言えば?」


好きとかだって滅多に言ってくれない。

まあ、あたしも言わないけど。



なんて思いながら、誠也の温もりを感じていた。




「寂しかった、会いたかった。」



なのに、そんなこと言われると思わないじゃん。


ずるいよ、これはずるい。



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