そばにはいれないから。
「俺も冬馬だけでいいと思った事なんかない。」
前砂さんは、大きく深呼吸をして、さらにあたしに想いを伝える。
「確かに、お母さんの事を好きになった。お母さんが好きで結婚した。
けど、もちろんそれだけじゃない。お母さんと咲良、2人を幸せにしたい。そう思ったから、結婚した。7年前、咲良と会ったときから、君の頼れる人でありたいと思ってる。」
もうなんかよく分からなかった。
涙が溢れて仕方がなかった。
「君のお父さんになりたい気持ちはずっと変わってない。」
前砂さんは、泣いてるあたしをそっと包み込むように抱きしめてくれた。
5歳の時お父さんがいなくなってから、ずっと寂しかった。
お父さんがほしかった。
「……………………お父さん。」