そばにはいれないから。




「咲良!!!」

家の中に入ると、玄関にお母さん。


「急に出ていくから、驚いた。」


「ごめん、誠也が来てくれてたの。」




「…………咲良。」


もうすでに泣きそうなお母さん。


お母さんの泣いてる顔は好きじゃない。

笑っててほしい。



だけど、きっとこれからあたしは何度もお母さんを泣かせるんだろう。



「ねえ、聞いてほしいことがあるんだけど。」


「ん?」


そう言った時、ペタペタと足音が聞こえて


「ねね!みっけ!」


弟の冬馬(とうま)が走ってきた。



今年、3歳になったばかりの弟。


ちなみにあたしはお母さんの連れ子で、冬馬は再婚した今のお父さんとの子どもっていうちょっと複雑な家庭環境。



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