そばにはいれないから。



「ねえ、最近のあたし、やっぱちょっとおかしい?」

俺にそう尋ねて、真っ直ぐな目で俺を見る。



「なんか言われたのか。」

「焦るなって顧問に言われた。」

焦るな、か。



「確かに、なんか追い詰められてる感は伝わってくる。」

俺の言葉に、ふーんみたいな顔をして、武道場の真ん中に座る。


「でもさ、焦るでしょ?あと1ヶ月と少しで夢の全国大会なのにさ……咲良がいないんだもん。」


声を震わせて、目に涙を溜めて、咲良と似てる。



「昨日でわかった、あたしには咲良が必要だったんだって。」


咲良もよくそうやって泣くの我慢してた。


そういや、「結依とあたしってちょっと似てるんだ」って咲良が昔言ってたな。

今なんか分かったよ。



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