そばにはいれないから。
「1年生の時、全国出て、1回は勝たなきゃねって咲良と言ってたの…………せっかくここまで来たのにさ、1回勝たなきゃじゃん。
なのにさ、咲良がいないってだけで、勝てる気がしないの。
咲良ならいいムードで持ってきてくれるって、ずっと思ってやってたから
咲良がいないと不安でさっ、どうしたらいいかわかんないんだよね。」
そうやって静かに涙を流す結依の隣に座った。
「どこにいんだろな、あいつ。」
俺はずっと不可解で仕方がない。
「なあ、ずっと目標にしてた全国に出る事が決まって、お前ならそんな時期に転校するか?」
俺の問いに首を振る結依。
俺もそう。例え一人暮らしをしたとしても、絶対に残りたいと言う。
「転校とか、信じられねえんだよな。」
あいつもきっと同じだと思う。