鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「ただいま………」
いつもよりも小さな声。
いつもならば誰がいる部屋に帰れる事が幸せだったはずなのに、今は1人で考えたかった。
「空澄っっ!!」
すると、物音を聞き付けて希海がリビングから飛びだ来たのだ。そして、空澄の元へと駆け寄るとそのまま空澄を抱きしめた。
希海の突然の行動に驚いた。けれど、すぐに彼の温かさと匂いを感じ、安心感に包まれる。目の奥にじんわりと涙が溜まり始めた。
「空澄の魔力が使われるのを感じたんだ。それにあのおまもりも反応したのをわかった。すぐに駆けつけようと思ったんだ………けど、何故な空澄の魔力を感じられなくなって………本当に心配したんだ………」
「………希海………私、わたしは………」
震える声が空澄の口から出てしまう。けれど、彼に助けを求めたい。そう思いつつも、上手く話せずに口をパクパクと開ける。けれど、上手く言葉に出来ないのだ。そんな空澄を見て、希海は「大丈夫……大丈夫だから」と、頭を撫でながら、優しく体に触れてくれる。
空澄は、声を堪えながら泣いた。
あぁ、希海の前だとどうしてこうも泣き虫になってしまうのだろうか。どうして、隠せないのだろう。
そんな事を思いつつも、先ほどの事が頭をよぎり続け、しばらくの間彼の胸の中で泣いたのだった。