鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
いつも真剣に自分を考えてくれる希海。
そして、自分を素直にしてくれる、不思議な存在だ。深海のような瞳がキラキラと光り、希海は空澄を見ていた。正確には、首からかけている宇宙ガラスのネックレスだったので、空澄は思わずもっと近くで瞳を見たかったし、自分を見てほしいと思った。そう思ってしまうと、体が勝手に動き、気づくと空澄は腕の伸ばして彼の頬に触れながら、希海を覗き込んでいた。
すぐ近くに大好きな彼の瞳がある。鴉の時から「綺麗だな」と思っていた。青黒い瞳。
「…………どうした?空澄?」
「え、あ………その………ほら、魔力の譲渡がまだだったから」
「じゃあ、キスしてもいいのか?」
「う、うん。もちろん………だって、魔力をあげなきゃいけないんだもん……」
「そう、だな………」
自分で言っておきながら、その言葉に傷つけられてしまう。
空澄と希海がキスするのは、魔力のためだから。
それなのに、彼へキスをせがんでしまった自分の行動に焦りながらも、希海から与えられる甘い感触に空澄は傷つき、そして幸せを感じてしまっていた。
もう、気持ちに気づかないフリは出来ないかもしれない。そんな予感がしていた。