鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする



 「美味しかったね!いつもより豪華な所だったし……それに、ご馳走さまでした」
 「いいんだよ。俺の方が稼いでるし」
 「そうなんだけど………お料理も美味しかったし、雰囲気も素敵だった。デザートのチーズケーキ、また食べたいなー」


 今日のバースデーの食事会はいつもより高級感がある場所だった。真っ白なテーブルクロスにピカピカ光る食具たち、そしてスーツ姿に身を包み、姿勢をよくして立っている紳士的な男性。照明は落とされ薄暗い雰囲気だったが、テーブル毎にキャンドルが置かれており、とても神秘的だった。コース料理もとても美味しかったし、それに合うお酒も教えてもらい、普段飲まないようなワインも楽しめた。
 2人は、その雰囲気を味わいながらお酒を飲んでしまい、少し酔ってしまい歩いて帰る事にしたのだ。

 家の近くの公園を通って近道をする。それも、いつもと変わらない2人の帰り道だった。


 「あ、そうだ!何だかあのお店でプレゼント渡すの恥ずかしくて渡せなかったんだけど。お誕生日おめでとう、璃真。明日だから、ちょっぴり早いけど」


 鞄の中に大切にしまっていた小さな紙袋を彼を差し出すと、璃真は少し気恥ずかしそうにしながらも「ありがとう」と受け取ってくれた。


 「これは………お財布だね」
 「そうだよ。璃真の財布、少し痛んできてたでしょ?だから、いいかなって……革製品好きだったから選んでみたの。ダークブラウンで少し璃真の髪にも似ているから………。どうかな?使えそう?」
 「もちろん。大切にする」
 「うん!」


 プレゼントを受け取った璃真はすぐに開封して中身を見てくれた。嬉しそうに微笑む姿を見ると、空澄は嬉しくなる。



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