鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「無事、終わったか?」
「あ、希海。うん、終わったよ」
「じゃあ、俺も拝んどこうかな」
2階の部屋に居た希海は人がいなくなったのを確認しながら階段を降りてきた。そして、仏壇の前に座り、手を合わせた。しばらくの間、何かを璃真に伝えていたようで、その様子を空澄は微笑みながら見守っていた。
希海が鴉の呪いがなかったら、璃真と仲良くなっていたのだろうか。幼馴染みが3人というのも面白いだろうな、なんてもしもの昔を考えてしまったのだ。
「今日の夜は練習やめとくか?」
「ううん。やるよ。夜の飛行をやってみたいし」
「わかった。じゃあ、さっそく行くか」
すっかり夜になっていたので、2人は食事の前に練習を済ませてしまう事にした。
家を出てすぐに、空澄は呪文を唱えずに風魔法を使う。襲われた時に咄嗟に逃げられるように呪文は使わないようにしたのだ。そのお陰で、すぐに体がふわりと浮いた。一気に上昇し、そのままいつもの丘の上まで飛行する。空澄のすぐ後ろを希海は飛んで降り見守っていた。