鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
希海は空澄と目線を合わせるように屈んだ。彼の綺麗な瞳が目の前にある。吸い込まれてしまいそうな黒に瞳。そして、鼻同士が触れそうな距離でまじまじと見られると恥ずかしくなる。けれど、彼の言葉一つ一つがとても嬉しくて、そして続きの言葉を早く聞きたくて、ドキドキしながらも彼の瞳を見つめ続けた。
「早く自分のものにしたいって思ってた。使い魔の頃から空澄が好きだった。……空澄は俺の事、どう思ってるか聞かせてほしい」
「………私は……」
真剣な表情の希海。彼へ今の自分の気持ちをどう伝えればいいだろうか。
自分への彼の気持ちが嬉しい。隣にいて守ってくれる事が本当に心強くて幸せだと言うこと。自分ももっと触れてほしいと思っていたこと。
かっこつけなくてもいい。自分が言いたいように彼に伝えよう。上手く伝わらなかったら、伝わるまで話せばいい。
そう思って、空澄も恐る恐る彼の方へ手を伸ばした。そして、先ほど希海がしてくれてように頬に手を当てて彼の体温を感じる。それだけで安心できて上手く話せそうな気がした。
「私ね、こうなって一人になってとても寂しかった。けど、海が人間に戻って希海になって……ずっと見守っててくれたあなたも一緒になれてよかったと思ってる。鴉の頃、気づかなかったし、私は大切な幼馴染みを亡くしたばかりなのに……こうやって誰かのぬくもりを感じて幸せを感じてていいのかなも思う。……だけど、希海とキスをする時間は私のとっては特別で………そのはしたないとか思うかもしれないけど、嬉しかったの………」
「そんな事は思わないよ。それに、俺は空澄の気持ちが嬉しい………だから、ちゃんと言葉にして教えて欲しい。恋人になれる言葉を」