鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
希海の言葉は、いつも空澄を安心させる。昔から見守ってくれていた彼が、好きだと言ってくれる。そして、空澄も心が揺れるのだ。
それに会った時から彼は何が違うと感じていた。それは彼が鴉の海だったからだと空澄は思っていた。けれど、それは一目惚れをして恋に落ちていたのかもしれないと空澄は思った。
そして、彼を知れば知るほど惹かれていった。
希海に促されるように、空澄は彼を見つめ、更に距離を少しだけ縮めた。鼻先同士が触れ合う。彼の吐息さえもわかる距離で、空澄は心からの言葉を伝えた。
「私も、希海が好き………」
「うん………知ってた」
強気な言葉も彼らしい。そんな事を思いながら、微笑む。希海は愛おしそうに目を細めて空澄を見た。
「やっと俺の恋人になってくれた」
「うん」
希海はそう言うと、空澄の唇にキスを落とした。
いつもの食べるような濃厚なキスではなく触れるだけのキス。
それなのに、今までのキスの中で1番甘く、そして心が満たされていく。そんな幸せを感じられる口づけだった。