鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする


 「時間は不定期。入り口のランプがついたら開店中の合図にしてる」
 「それで来てくれるの?」
 「あぁ。よく効く薬があるって人気なんだぞ。花里家は癒しの薬を作るのが得意だって有名だからな」
 「そうなの?」
 「あぁ。その家系によって得意魔法も違うんだ。俺は戦闘系の方が得意だけどな」
 「いろいろあるのね」


 希海が古びた鍵で店のドアを開けてくれる。
 すると、生薬の香りが2人を出迎えてくれた。
 カウンターと、長いソファが何点か並んで置かれていた。カウンターの奥には瓶が並べられ、その中に薬に使うものたちが入ってるようだった。計りやすり鉢、ビーカーなど、実験室のようだった。


 「お客さんが来たら話を聞いて、その人に合った薬を調合するんだ。だから、すごく時間がかかる。けど、話しを聞くことでその人の事を詳しく聞けるはずだから、その時間は惜しまないこと。それが、尚美さんの教えだったよ」
 「そうなんだ………。いいお店なんだね」


 彼から話を聞くだけでも、両親がいかにお客さんを大切にしていたのがよくわかった。まだまだ薬の知識も足りたいので、一人で店先に立つ事は出来ないけれど。それでも、いつかは希海の力をかりなくても一人でお店に立てればいいなと思った。


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