鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
その後は、顧客リストや両親のメモ書きのノートを見せて貰いながら話しを聞いている時だった。
突然、店のドアがゆっくりと開いたのだ。
そこから、顔を出したのはおばあさんだった。真っ白な髪は短く切られ、まあるい顔は頬がピンク色に染まっていた。少し腰の曲がったそのおばあさんは、「すみません。今は、開いてますか?」と聞いてきたのだ。
そのおばあさんを見て、希海は「北本さん。こんにちは」と笑顔で出向き、すぐにおばあさんの元へ駆けていった。そして、おばあさんの体を支えながら、客人用のソファまで案内した。
「ごめんなさいね。あなたがお店に入るのを見かけたから、開店するのかなって思ってしまって。大丈夫だったかしら?」
「大丈夫ですよ。いつものお薬でいいですか?」
「えぇ。お願いします」
そう言うと、希海はカウンターに戻り薬の調合をし始めた。その様子はジッと見学をひていると、おばあさんがこちらを見つめているのに気づいた。
「あなた………もしかして、花里の娘さん?」
「あ………はい。そうです」
「そうだったの!あなたのご両親には大変お世話になったの。娘さんがいるとは聞いていたけれど………もしかして、魔女になるつもりなの?」
「………はい。まだまだ勉強中なのですが………」
そう言うと、そのおばあさんは花澄の事を手招きして、「こちらにいらしてくれる?」と呼んだ。空澄は、おばあさんの傍に向かい、目線を会わせるように、その場にしゃがんだ。