鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
段ボールを開けて、彼の荷物を確認する。
ほとんどが書類ばかりで、彼の私物は文房具やパソコン関連のものばかりだった。その中で
、空澄が気になるものがあった。
それは赤いノートだった。彼はモノトーンが好きで、鮮やかな赤のものを選ぶのは珍しいと思ったのだ。どちらかというと空澄が好きな色だ。
そして、そのノートを手に取ると何故かページが捲れないのがわかった。普通のノートのはずなのに、捲れない。魔力を持っていない人間にはきっとこのノートは存在に気づいても、開こうとは思えない。そんな魔法がかかっているような直感を空澄は感じた。
しかし、璃真は魔法は使えない。魔王ではないのだ。それなのに、何故そんなものを持っているのか。
空澄はそれを早く読まなきゃいけない。璃真がそう言っている。そんな焦る気持ちになったのだ。
空澄は覚えていた鍵などを解錠する呪文を唱えた。すると、音はしないがノートから力が消えたのを感じた。
厳重に守られたノートのページを恐る恐る捲る。
すると、1ページから衝撃的な文字が並んでいた。
『 空澄へ
このノートを読んでいるという事は、空澄は魔女になったんだろうね。そして、僕は予定日通り死んだのだろう。
一人残してしまってごめんね、空澄。』