鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
その日の夜は考えすぎなのか、空澄はなかなか寝付く事が出来なかった。
そのため、地下室から本を持ってきて自室で読んでいた。途中で喉が渇いたので、キッチンへ降りようとした時だった。
「………あ、希海」
「遅くまで部屋の電気がついていたから心配してたんだ。眠れないのか?」
廊下で希海と鉢合わせた。どうやら、希海は部屋からの物音で心配してくれていたようだった。
「うん……なかなか寝れなかったから、お母さんの本とか読んでたの。いろいろ考えすぎたかな……」
「無理するなよ?」
「うん。ありがとう」
そう言って彼の脇を通り抜けようとした。けれど、希海が空澄の手を突然掴んだので、そのまま体を引かれた。気づいたときには、希海に抱きしめられていたのだ。
ポカポカと温かい彼の体。もしかしたら、希海は寝ていたのかもしれない。そんないつもより高めの体温は、空澄をホッとさせた。
けれど、彼は何かを話さないで秘密にしているのかもしれない。そう思い出すと体に力が入ってしまった。