鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
空澄は希海を見送った後に、掃除などの家事をした後に地下の秘密部屋に行こうと思っていた時だった。
ガチャンッ…………ガシャンッ
1階の和室の部屋から何かが割れる音が続けて起こったのだ。
希海が家を出た後に、空澄は家の結界を自分で施していた。しかし、魔力が強いだけでまだ上手く仕上がっていなかったのだろうか。
だから、誰かの侵入を許してしまった。
空澄は頭の中で悔しがりながらも、すぐに和室へと向かった。中には誰かいるのは確実だ。
空澄は相手にすぐに攻撃できるよう手を差し出したまま部屋のドアを開けた。
すると、そこに和室に立っていたのは、驚くべき人だった。
「璃真………?」
死んだと思っていた人が目の前にいる。
空澄はそれが現実なのか夢なのかわからなかった。
「空澄、ただいま」
微笑む表情、声、そして、しぐさ。それはまさしく璃真そのものだった。
空澄は驚きの表情のまま、璃真を見つめた。そして、気づくと彼の方へと近づいていっていた。よろよろと1歩ずつ彼に近づく。
話したいことがある。
伝えたい気持ちがある。
突然目の前から消えてしまった大切な幼馴染みの璃真に、もう1度会えたら。そう考えたことなど何回もあった。