鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
27話「作り物」
27話「作り物」
「ねぇ……どういう事、教えて…………」
リアムが言っている事が理解出来なかった。
璃真が前にも死んでいるとはどういう事なのか。全くわからなかった。頭がガンガンする。目の前が歪んで、現実の世界ではないようだった。
ふらつく体を何とか自分で支えながら、空澄はリアムを見つめた。彼は弱った空澄を見ると楽しそうに笑った。
「だから、そのままだよ。あいつは1度死んでる」
「でも、私と一緒に暮らしてた。白骨の遺体が見つかるまで…………」
そこまで言ってから、空澄は気づいてしまった。リアムはどこから現れた?
璃真の姿になって、空霞の前に現れたのだ。そして、璃真の体からふわりと出てきたのがリアムだった。そして、彼が離れた瞬間、璃真は白骨になった。
そう、リアムは璃真から出てきた。
「………まさか………」
「やっと理解したか。そう………あいつの体の中にいたのは俺だよ。10年前死んでから、動かしていたのは俺だったんだよ」
「10年前に………あの事故があった時に璃真は死んでたって事なの?」
「あぁ………その体を俺がもらったってわけ………けど、あいつは俺を逆に利用したんだ!!」
楽しそうに笑っていたリアムの表情が一変した。思い出したように憤怒して、大きな声を出したのだ。空澄は大きな声と彼の態度の変化に驚き体をビクッとさせた。
彼の急変した様子に空澄は驚き、思わず後ずさってしまう。
が、そんな空澄を見てリアムは、またニヤリと笑った。
「怖がるなよ。俺と結婚するんだ。……お嫁さんには、俺の事を教えてあげないとね」
そう言って、リアムは楽しい話をするかのように、ニコニコと明るい口調で話し始めた。
その姿に恐怖を感じていた空澄だったが、話を聞いていくうちに、彼の話に夢中になっていったのだった。