鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
リアムは、白骨を見つめた後に風魔法を使って勢いよく公園から飛び去っていった。
彼の姿が見えなくなった後、希海はフラフラと倒れ込んでしまった。
「まぁ、本当にはったりなんだけどな」
そう。希海が持っていたのは、ただのガラス玉だった。魔力なんて入っているはずもない。作戦勝ちだった。
希海は魔力の使いすぎで、体力限界、そして睡魔に襲われたのだ。そして、璃真は、鴉の姿に戻ってしまった。
「………璃真、上手くいったぞ………おまえの体は取り戻した」
最後の力を振り絞って、ぴょんぴょんと飛びながら璃真の白骨の方へと向かう。
わざわざ沼へ来たのもそのためだった。体の中でリアムが寝ている感覚がわかるようで、そんな時間を狙って、璃真と希海は作戦を考えたのだ。璃真の体を使って空澄が騙されないように。
「だから………璃真、おやすみ………」
そう言うと、希海は白骨と寄り添うように眠った。
沼に白骨と鴉。その2人は闇にまぎれながら、2人だけの夢を見ていた。