鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
そう言って、床に何かを置いて警察は、何か作業をしているのがわかった。注射の準備をしているのだろう。希海は物音を注意深く聞き、何をしようとしているのかを分析した。
そして、1人の警察官が希海の腕に触れた瞬間、希海はパチリと目を開けて、その手を取って自分に引き寄せた瞬間に、体を起こし相手のみぞおちを膝で蹴りあげた。その警察官は驚いた一瞬の隙をついて、あっという間に意識を失った。
あと一人。その警察官は壁際に立っており、辺りを警戒していたようで、すぐに外に出ようとした。
「やっぱりそうか………この部屋自体が魔法が使えなくなるってことだな」
ここで希海が逃げようとして魔法官が魔法を使って止めれば、何かの魔法にかけられていると思えた。だが、咄嗟に外に出ようとしたのならば魔法を使うために出たのだろうと希海は考えた。
「行かせねーよっ!!」
希海は残りの魔女官の背中に蹴りを入れてよろけた所に後ろ首を軽く叩いて気絶させた。
「こんな所か………」
パンパンッと手を叩きながらそう言うと、希海は魔女官が持っていた鍵を拾い、牢屋から出て入り口の鍵を閉めた。これでしばらくは脱走した事はバレないだろう。廊下で試しに掌に炎を出してみると、すんなりと赤い火が現れた。
「よしっ、待ってろよ……空澄!」
そう呟くと希海は風魔法を使って廊下を素早く走った。そこで見つけた窓を魔法でぶち破り、そのまま空から逃走をした。その音ですぐに他の警察官に脱走がバレてしまったが、それでも希海はかまわなかった。
その頃には、希海は遥か彼方の空を飛んでおり、追ってこれる警察官などいなかったのだった。