鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「花里さんがコンビニ弁当なんて珍しいわね」
職場で昼食をとっていると、同僚が声を掛けてきた。いつもは璃真の手作り弁当なので、物珍しかったのだろう。
「寝坊しちゃったみたいで……」
「しっかり者の幼馴染みくんが?珍しいね」
「そうなんです。帰ったら体調悪くないか聞いてみます」
そう会話をしている時だった。
「花里さん、休憩中ごめん」
職場の上司が手を挙げて空澄を呼んだ。急用なのだろうと思い、急いで駆け寄ると上司は周りを確認した後、小さな声で話を始めた。
「警察から連絡が来てるよ。同居人の事で確認したいって」
「………え」
「奥の会議室空いてるから、そこで電話していいから」
「…………あ、ありがとうございます」
上司から電話の子機を預かり、空澄は急いで会議室へと向かった。静まり返った会議室の電気をつけず、空澄はすぐに子機の通話のボタンを押した。同居人というのは璃真の事だろう。不安や恐怖もあった。何かあったのだろうと、緊張で震えそうになりながら、空澄はやっとの事で声を出して電話に出た。