鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする



 「それでは………ご確認を」
 「…………」


 そう言った後、小檜山はゆっくりと白い布を捲った。空澄は目を瞑ってしまいそうになるのを堪えて、ジッとそのベットから視線を動かさなかった。


 「…………え…………」


 そこにあったのは、死んでしまった人間の熱のない体が横たわっているはずだった、顔を見て璃真ではないかを確認するはずだった。
 けれど、そんな事など出来なかった。

 ベットにあったのは、白いモノ。


 骸骨と無数の骨格。
 白い骨が置かれていたのだ。


 「………こちら鶴ノ谷の公園にある大きな沼………ひょんたん沼と呼ばれている場所に置かれていたのを、本日の明朝に散歩していた方が発見し通報しました。その周辺には、被害者と思われるバックが落ちており、その中に財布を発見。そこから、身元が確認されました」


 近くにあったテーブルの上から、黒いバックを持ち上げ、小檜山はそこから財布を取り出した。
 バックも確かに璃真のものに似ている。そして、財布は昨日空澄がプレゼントと全く同じものだった。



 「………この白骨が璃真だというのですか?」
 「職場に連絡した所、今日は無断欠勤をしているそうです。そんな事1度もした事がないと心配していたそうです。それに、ご自宅にもいきましたが、誰もいらっしゃいませんでした。………ですので」
 「それだけでは、この白骨の遺体が璃真じゃないかなんてわからないじゃないですか?!昨日の夜まで一緒だったんです。だから、白骨化になるなんておかしいですよね?だから、これは璃真ではないですよね!?」


 目の前の白骨を見て気が動転しているのだろうか。空澄は必死にその白骨が璃真ではない理由を探した。見た目ではわからないのだ。
 昨日生きていた人が近くの公園で白骨化しているなんて、おかしな話のはずだ。

 小檜山に詰め寄り、早口で彼にそう言う。けれど、小檜山は首を横に振った。



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