鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
心身共に疲れていたのだろう。
璃真は夢にも出てきてくれなかった。
空腹と寒気を感じた空澄は、モゾモゾと体を動かした。起きてしまえば、また璃真がいない現実と向き合わなければならない。完全に覚醒してしまっていたけれど、空澄はキツく目を瞑った。
ドサッ
何かが落ちる音がした。空澄は仕方がなく起きて確認すると、空澄が持っていた璃真のバックの中身が床に落ちてしまった。
「………ごめんね、璃真……」
空澄はソファから起き上がり、床に落ちた物を揃った。書類やメガネケース、ハンカチやペン、そして昨日彼にあげたばかりの財布も落ちていた。璃真は、家に帰ってから財布の中身を変えてすぐに使ってくれていたようだ。
彼の優しさを感じまた、空澄は瞳に涙が溜まっていくのがわかった。
「あれ………そう言えば、スマホがない?」
空澄はそう思い、バックの中や床にもなかった。彼が出掛ける時は必ず持っていたはずだ。
どこかに落としたのだろうか。
それとも彼が見つかった公園の沼に落ちているのかもしれない。だが、警察も捜査したはずなので、見落としはないだろう。
だが、空澄は璃真のスマホが気になって仕方がなかった。もしかしたら、彼がいなくなった理由がわかるかもしれない。
そう思うと止められなかった。