鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする



 2人の出勤時間がほとんど同じなため、璃真と空澄は一緒に家を出る。璃真が作ってくれたお弁当を持ち、そして冷蔵庫から水筒とある物を持っていく。


 「毎日それで飽きないの?」
 「だって違う味だと食べてくなかったのよ」


 そう言って、空澄はヒールの靴を履き玄関の扉を開いた。


 「おはよー、海!」

 
 玄関を出るとそこには小さな庭がある。そこに、真っ黒な鴉が居た。空澄を見つけると、ちょんちょんと小さく飛びはねながらこちらに向かってくる。


 「今日も可愛いねー」
 「アーッッ!!」


 海(うみ)と呼ばれた鴉は、空澄に頭を撫でられると、青色の瞳を閉じて気持ち良さそうに体を近づけてくる。海は、空澄が子どもの頃から懐いており、外に出るといつも海が近寄ったり、遠くで見ていてくれていた。それは大人になっても変わらずであった。


 「はい。今日のチーズだよ。今日はカマンベールチーズにしてみましたー」
 「カァッ!」


 海がチーズを3切れ差し出すと、くちばしを上手に使い、1つずつ食べ始めた。


 「チーズが好きなんて、本当に変わってる鴉だよな」
 「チーズが入ってるものなら何でも食べるよね」



< 4 / 173 >

この作品をシェア

pagetop