鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする



 「まず、俺の話からさせてくれ。俺はお前が生まれる前から鴉として生きてきた。その理由は呪いのせいだ」
 「呪い………?」
 「俺の家系は昔から魔力を使える人間ばかりが生まれていた。そんな俺の祖先はその魔力を悪事に使った。それを魔女達に見つかり裁かれ、罰として呪いを受けたそうだ。それが鴉となりとある魔女に遣えること。それが10代先まで続く俺の家、黒鍵家の呪いだった」
 「………そんな呪いがあるなんて」
 

 空澄は唖然としながらその話を聞いていた。
 自分の知らない魔女の世界。
 そんな世界で生きている人が自分のすぐ傍にいたなんて、思ってもいなかった。


 「そして、俺が使い魔として使えていた魔女。それが空澄の母親である、尚美さんだよ」
 「………お母さんが魔女?」
 「君の家系、花里家はこの国では有名な魔女の純血の家系なんだ。空澄の両親も魔女なんだ」


 彼の言葉を理解するのに、いつもの倍はかかったかもしれない。
 ポカンとしたまま言葉の意味を考えた。
 お父さんもお母さんも魔女。

 今までそんな事は思いもしなかった。気づきもしなかった。知らなかった。



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