鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「そんなだって……そんな事一言も……」
「2人は空澄を魔女にさせたくなかったんだ。だから、隠してた。世間からも空澄からも」
「……どうして?」
「純血の魔女は狙われるから。……それが尚美さんがいつも言っていた言葉だ。純血の力は強い。だからこそ、その力を獲ようと悪い奴らが寄ってくるんだ」
「悪い奴ら………それから守ろうとしてくれたって事?」
「そうだよ。だから、秘密にしてたんだ。だから、話さなかった2人を悪く思わないでやってくれよ」
「……………うん」
希海の言葉を聞いて、彼は自分よりも両親の事を知っていたんだという事がわかり、少し羨ましかった。いつも忙しい父と、優しくそして美しかった母は空澄にとって自慢の両親だった。けれど、そんな温かく環境は、両親が必死に守ってくれていたから成り立っていたのだとわかり、空澄は胸が苦しくなった。
「黒鍵家の呪いは10代まで。それが俺だった。だから、俺が尚美さんの使い魔を果たせば呪いは終わる。だから、尚美さんが死んだら呪いは解けるはずだったんだ。けれど、尚美さんがまた呪いを俺にかけた」
「え………」
「空澄が魔女として力を使うまで、おまえを守る事。空澄が力を使えば呪いは解ける。」
「じゃあ、私があの呪文を唱えたから」
「そう。俺は鴉の呪いがなくなった。10代続いた黒鍵家の呪縛から解放されたんだ」
「…………じゃあ、あなたは自由なのね、希海」