鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
テーブルに並んでいたのは、昔ながらの和食だった。ご飯、味噌汁、鮭の塩焼きにきんぴらごぼう、ほうれん草のおひたし。少し意外な献立だった。
「ねぇ、希海?」
「ん、何だ?」
「何で鴉から人間に戻ったばかりなのに、こんなに料理が出来るの?それに普通に歩けてるし話も出来るし……すぐに人間の生活に馴染めるものなの?」
「あぁ……空澄には話してなかったか。夜の数時間だけ人間に戻れたんだよ。だから夜は人間として生活してた」
「そうなの?知らなかった」
「まぁ、空澄は寝てる時間だし魔女の家族の事を秘密にしてたからな」
「そうだったんだ………」
食事をしながら、そんな話をしていた。
自分の知らない魔女、そして、家族の話。
自分より彼の方が詳しいのではないかと切なくなるけれど、それは両親が危険な目に合わせないようにしてくれたためだというのも、空澄は理解していた。
「夜は何をしていたの?」
「まぁ、寝てることも多かったけど、尚美さんの店を引き継いでるからそっちに行ったりしていたよ」
「お母さんのお店……」
「両親の店と言った方がいいな。………行ってみたいか?」
「うん………」