鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
両親が魔女として生きてきたのなら、2人の力を必要としている人がいるという事だ。それならば、その代わりにならなきゃいけない。
璃真が犠牲になったのならば、真実を知らなきゃいけない。
ずっと見守ってきてくれた希海のために、生きなければいけない。
悲しみに暮れてばかりではダメだ。怖がっていても力は身に付かない。
魔女になって、全てを知り自分は自分で守っていこう。
そんな風に思えるようになったのだ。
「だから、希海。もう少しだけ力を貸して欲しいの。あなたには、助けてもらってばかりだけど………」
大それた事を言いながらも結局は人に頼らなければ生きていけないのが恥ずかしく、空澄は苦笑しながら希海にお願いをする。
すると、彼は箸を置き、空澄の頭に腕を伸ばし、ポンポンッと頭を撫でてくれた。
「当たり前だろ。寂しがり屋のおまえを一人きりには出来ないからな」
「……………ありがとう」
希海が居てくれるから、魔女になろうと決められた。
それはわかっていた。
彼が一緒に居てくれるならば、何でも出来るのではないか。そう思えるのが不思議だった。
けれど、両親は希海に自分を託したのだ。
彼を信頼していたのだろう。
これからどんな世界が待っているのか、わからない。
けれど、魔女として生きると決めた空澄は瞳は真っ直ぐに前を向いていた。