鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする



 「璃真の事、好きだった?」
 「どうしたの、急に………」
 「幼馴染みで一緒に住んでたのに付き合ってなかったみたいだから。空澄はあいつの事好きだったのかって思って」


 突然の恋愛話に驚き、空澄は目を大きくしながら、彼を見る。希海は、いつもと変わらない表情で、彼がその質問をしてきた意味はわからなかった。


 「………好きだったのかは、わからないんだ。幼馴染みとして大切だったし、人としても尊敬してた。けど、璃真と恋人になる事は想像したことなかったの。だから、恋愛対象としての好きはなかったのかもしれない。………けど、大切だったのは確かだよ」
 「そうだろうな。あんなにいつも一緒に居て、すごく楽しそうに暮らしたんだからな。………羨ましかったよ」
 「そっか………鴉でもしゃべれたら気づいてあげられたのになー」
 「何だよそれ」


 空澄の言葉に、希海は声を上げて笑った。
 そして、もう1度空澄の顔を覗き込んだ。



< 73 / 173 >

この作品をシェア

pagetop