鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
その日の夕食はキノコのスープスパゲティだった。
希海のおいしい夕食を食べ終えようという頃に、希海は突然目を鋭くさせ、どこか遠くを見つめた後に、フォークとスプーンを置いた。
「希海?どうしたの?」
「………来客だ」
「え………そう?」
空澄は全く何も感じず、後ろの窓を見ようと椅子から立ち上がった。すると、それと同時にピンポーンと玄関のチャイムがなった。
「魔力だよ。空澄も少しずつ感じ取れるようになるさ」
「………うん。でも、魔力って事は魔女か、魔王ってことだよね?誰だろう……」
「それは大丈夫だ。結界を解くから空澄が出てくれ」
そう言って、希海はまた何か呪文を唱え始めたので、空澄は彼の言う通りに玄関へと向かった。
すると、そこには真っ黒な軍服姿の男性が姿勢正しく立っていた。
「こんばんは。花里さん」
「あ、魔女官の小檜山さん。この度は、いろいろお世話になっております」
小檜山は浅く頭を下げた後に、視線を空澄の後ろに向けた。そこには、希海が立っていた。1度冷たい視線を感じたけれど、すぐに視線は空澄に戻ってきた。