鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「んー………遅いなーメッセージも来ないし」
空澄は先程からスマホの画面を見つめたり、電話やメッセージを送っていた。その相手はもちろん璃真だ。
空澄は定時で仕事を終わらせて急いで待ち合わせ場所に向かった。いつもならば彼が先に待ち合わせ場所に来て待っていてのだが、今日は璃真の姿はなかった。
仕事終わりの社会人や学生が行き交う駅の出入り口の脇で空澄は彼を待った。
今日は4月1日。
2人の誕生日の真ん中だった。真ん中バースデーなんて昔流行ったなと思いながらも、2人はその日を大切にしていた。どんな用事があってもこの日だけは空けていたし、お互いにプレゼントを準備したりしていた。同級生であっても、2日間しか同じ年齢ではない。そのうちの1日がこの日だ。昨日も「おめでとう」と言われたけれど、空澄にとって今日の方が誕生日のような気分だった。
「まだ15分しか遅れてないし………でも、あの時みたいに何かあったら」
空澄は持っていたスマホをギュッと握りしめた。