鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする


 「今回はお知らせしたいことがありお邪魔しました。新堂璃真さんと思われる白骨遺体のDHA検査の検査結果が明日の午前中には出ます。そのため、お昼頃に警察の方まで来ていただけませんか?」
 「………はい。わかりました」
 「その際、いろいろ書類に目を落として貰ったりするかと思いますので、よろしくお願いします」
 「わかりました。あの………その事でわざわざいらしてくださったのですか?」
 「はい………ですが、それだけではないですね」


 そう言うと髪と同じ色の瞳を細めて空澄を見つめた。それは外見を見ているというより、中身を見透かしているような遠い目だった。


 「花里さん。魔力を使ってますか?」
 「………え」
 「私は魔女対策官です。任されている地域に住む魔女や魔王の魔力は大体覚えていますが、この家には違うものを感じます。あなたの両親や、そこに居る男とも違うものです」
 「今、空澄は魔女になるために訓練をし始めたばかりなんだよ。魔力を感じるのはそのためだろう」
 

 戸惑う空澄の変わりに希海が腕を組ながらそう言うと、小檜山は納得したように小さく頷いた。

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