鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「なるほど。純血の生き残りが魔女になることにしましたか」
小檜山は初めて会った時にも「純血」と言っていたのを空澄はこの時思い出し、その意味を知ることが出来た。小檜山は初めから空澄が魔女と魔王の娘であると知っていたのだろう。
「それは本当ですか?」
「……はい。璃真がこんな事に巻き込まれてしまった原因を知りたくて、魔女になることにしました」
「そうですか、わかりました。それでは、明日、あなたが魔女になった事を登録する書類も準備しておきます。そちらに登録すれば、魔女の店も持てますので」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
空澄が笑顔でそう返事を言い終わる前に、小檜山は背を向けて玄関から出ていってしまった。相変わらず、とてもクールな人だと空澄は思った。
「明日か………。大丈夫か?空澄………」
「うん……大丈夫だよ。どんな結果が待っていても、璃真が目の前からいなくなってしまった事は変わらない。だから、魔女になるよ」
「あぁ。そうだな………」
希海の前では強がっていた空澄だったけれど、その日はベットに入っても眠れる事はなかった。ようやくうとうとしてきた頃には、窓からうっすらと朝日が差し込んできたのだった。