鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「お待ちしておりました」
「………よろしくお願い致します」
案内された部屋に居たのは、いつもの軍服に身を包んだ小檜山だった。魔女対策部の部屋にある応接室に通された空澄と希海、小檜山と向かい合うようにしてソファに座った。
「さっそくですが、DNA鑑定の結果です」
封筒に入った紙を取りだし、空澄に差し出した。いろいろと細かく書いてあるが、空澄はその文字が頭に入ってこなかった。先程から、ドクンドクンと鼓動が大きくなり、思考を邪魔してくるのだ。
そんな様子を隣で見ていた希海が心配してか書類を覗き込んだ。
そして、「この一致というに記載されているのが多いというのは………遺体が璃真のものだったという事ですか?」と変わりに質問してくれた。
その言葉にハッとして、空澄は小檜山の方を向いた。彼はいつも通りに冷静にこちらを見ており、その後書類に目を落としながら説明を始めた。彼の白くて長い指が書類に落とされる。
「こちらの一致という項目が示しているものは白骨と髪の情報がほぼ同じだった事を意味しています。そして、その項目がほぼ一致しています」
そこまで言った後、小檜山は手を戻し、太ももの上で手を組んだ。
そして、まっすぐと銀色の澄んだ瞳で空澄を見据えた。
「そのため、新堂璃真さんの遺体だと断定されました」
その言葉はとても重く感じられた。
空澄はまっすぐ彼を見ているはずなのに、視界が歪みゆらゆらと揺れているように感じられた。信じられない、悲しい。そう思っているはずなのに、涙も声も出ずに、ただ固まってしまったかのように、小檜山を見ることしか出来なかった。