鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
「き、希海?いきなり、何して………」
「…………」
「ねぇ、離して。後で、魔力は約束通り渡すから」
「そうじゃない!」
希海は怒り口調でそう言うと、強く抱きしめたまま言葉を紡いだ。
「………おまえ、一人で泣くのか?」
「……え………」
「あいつが死んだってわかって、どうして我慢するんだ。今泣かないで、一人になった瞬間泣くなら………俺が傍にいるから。顔も見ないから。一人で泣くなんて、悲しいことするな」
耳元で優しい声が響いた。
希海の語りかけるような声。そして、優しい言葉。外に出ている時は、気持ちを殺して我慢していた。けれど、璃真との思い出が詰まったこの家に帰ってくると思い知らされるのだ。璃真は帰ってこない。死んでしまったのだ、と。
彼の言葉と全身を包む、温かい体温。
そして、「一人で泣くな」という、言葉。
璃真を失ってしまった悲しみと、安心出来る存在。それがそれを同時に感じる事で、一気に悲しみが押し寄せてきた。
「………っっ…………璃真が死んじゃった………いなくなっちゃった………」
「………あぁ。そうだな………」
「ずっと一緒だと思ってたのに………一緒だったのに……璃真がいなくなっちゃったよ………」
「…………うん…………」
「っっ…………どうして……どうして、璃真が…………」
その後は言葉も出ないほど泣いた。
嗚咽になり、ゴホゴホッと咳き込むと、希海が背中を擦ってくれた。それでも涙がこぼれ続けても、頭を撫でてくれたり、強く強く抱き締めたり、「うんうん」と相づちをうってくれたり。子どももあやすように希海はずっと空澄の傍に寄り添ってくれたのだった。
一人で泣く時間も必要かもしれない。
けれど、こうやって誰かが傍に居てくれる。自分を受け止めてくれる。そんな人が居ると思えるだけで、思いきり泣ける。
それは、一人で泣くよりも長く泣けるものなのだと、空澄はこの日初めて知った。