鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
どれぐらい泣いたのだろうか。
ずっと目を瞑り泣いていたのかもわからなくなった。
今、目を開いたら現実に戻る。
璃真が死んでしまったという真実を、自分は受け止め切れるのだろうか。
そう思いながら、空澄がギュッと強く目を閉じた。
「ん………」
すると、すぐ傍で低い声が聞こえた。
そう言えば、希海にずっと抱きしめてもらっていたのだと思い出し、空澄はゆっくりと目を開けた。
すると、目の前には希海の顔。しかし、彼は横になり、すやすやと寝ていた。そして、自分自身も体を横にしているのに気づいた。
「………え……私、寝ちゃってたの………」
驚きを隠せずに、体を動かそうとするが、彼に抱きしめられたままでうまく体を起こせなかった。目だけで回りを見ると、そのは自分の部屋で夕暮れ時なのか、真っ赤な光りが窓から差し込まれて、部屋は赤く染まっていた。
泣きつかれて眠ってしまっていたのだろう。
目を覚ましても、目が開きにくく感じるのは、きっと腫れているからだとわかった。
目の前にある彼の寝顔をじっと見つめる。
希海の艶のある長い睫毛と髪の毛。そして、形のいい唇。この唇にいつもキスをされているのだと思うと少しドキッとしてしまう。けれど、今は彼の存在がとてもありがたい。突然自分の元に舞い降りた黒い鴉。そんな不思議な彼が自分の隣に居てくれてよかったと心から思った。唯一の家族であった幼馴染みを泣くし、一人でこの家に帰ってきて泣いて過ごす日々を想像すると、胸が苦しくなった。
そして、彼と居ることで璃真がいなくなったという傷を癒そうとしてしまっている自分にも、情けなくなった。