鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
☆★☆
花里の純血の魔女が帰った後。
小檜山は一人、応接室に残った。
目の前にあるのは、彼女の魔女登録の書類だった。その1枚を手に取る。控えの書類だと言って、こちらにも血印を押してもらったが、それは嘘だった。
「純血の魔女………その魔力はどんなにすごいのだろう」
小檜山はそう恍惚とした表情でその書類の赤い染みを見つめながら呟いた。
そして、その血印を顔に近づけ、サラリとした銀髪を耳にかけながら、血をペロリと舐めた。
その瞬間に、小檜山の体に魔力が巡るのを感じ、彼は目を大きくさせて驚き、そして口元を緩ませた。
「これはすごい………覚醒したばかりの魔女の血でこれほどとは!!やはり、純血の力は素晴らしい」
体が満たされる感覚。そして、どんな魔法でも今まで以上の力で出せる自信を小檜山は感じていた。魔力も満タン以上に体に収まっているように感じるぐらいだった。
「くくくくっ………やはり、彼女は魔女になるべき女だったのだ。そして、ゆくゆくは………」
そう言って、空澄の魔女登録の紙を眺めて、小檜山はニヤリと微笑んだ。
彼女の血でも涙でも唾液でも……そして、甘い蜜でもかまわない。
早く口にしたいものだと、細い首をゴクンと鳴らして、その日を待ちわび始めたのだった。