鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする
17話「純血魔女の誕生」
17話「純血魔女の誕生」
☆☆☆
「血印ってすごいなー……やっぱり魔力が入ってるからかな………」
右手の親指に巻かれた絆創膏を見つめながら空澄はそんな事を考えていた。
空澄は正式に魔女となった。
魔女になった事で空澄は考える事があった。自分が魔女になる事で、他の魔女たちに影響が出る。そんな話しを希海がしていたけれど、まだ初心者の空澄はほとんど魔法らしいものは使えない。そんな自分が、何の影響を与えるのか。それが全くわからなかった。
「………やるしかないよね、璃真」
OL姿には似合わない、ネックレス。宇宙ガラスは普通のアクセサリートップより大きいデザインのため仕事に使うものではなかった。けれど、今日はおまもりのためにこれをつけなければならなかった。それにバック入れておくよりも、身につけておくのが1番だと言われたのだ。
球体のガラスを握りしめながら、そう呟くけれど、ガラスはただ冷たいままだった。
空澄は、魔女の勉強が終わった後、夜は希海のことについて調べる事にしていた。まずは、人を白骨にする魔法と言うのはあるのか。だった。1つは、火の魔法。それが1番効率的だった。圧倒的火力の強い魔法で一気に肉体を焼いてしまうのだ。それが調べた中では有力だった。他には毒で溶かすというものもあったが、それだと骨まで溶かしてしまう可能性もありそうだった。老化を促進させる魔法というのもあるそうだが、それはとても難しく見たことがないと、本を見ながら希海が教えてくれた。
炎の魔法ならば気軽なので、魔力が高いものならば、十分に可能だとも言っていたので、ある程度の魔女や魔王ならば、白骨にすることなど可能なのかもしれない。
そう考えるとやはり魔女の力は今まで普通の人間だった自分から見ると、逸脱した存在だった。その卓越した力を使えばいつでも人に危害を加えることが出来る。そう思うと、自分が他の魔女や魔王狙われているという事が恐ろしくなる。
だが、それ以上に怖いのは自分も人に危害を加える存在になる事だった。