橘くん、今日もすきです
橘くんが私を見た瞬間、綺麗な切れ長の目を細めていかにも嫌そうな顔をするのはもう慣れっこ。
「俺が呼んだの、白糸先輩じゃなくて、空先輩なんすけど…。」
ゲッ、っと効果音がつきそうなくらい嫌な顔してもかっこいいなんて、さすが橘くん。
サラサラのダークブラウンの髪の毛と、その位置にいるのが当たり前のように配置された顔のパーツ。
運動神経も頭も良い。
私なんかには手が届かない、そんな人。
「なーに、はる」
そんな時、タイミングよく現れたのは空くんで、ドンマイ代わりに私の肩をぽんぽんと二回叩いた。
私たちと同じ中学出身である橘くんは、空くんや唯斗くんのバスケ部の後輩で、2人を通して知り合った。
って言っても、私が強引に紹介してもらっただけだけれど。
だから空くんも唯斗くんも、あずちゃんも、私が橘くんのことが好きなのを知っている。