橘くん、今日もすきです
「もしよければなんですけど、空先輩のもらえませんか?」
…なるほど。
この学校は2年から文理選択があるため、1年生は問答無用に全教科やらされる。
だから文系である私たちも一年の時に使っていたその問題集は持っていて。
しかも書き込み式じゃなく問題が書かれているため使い回しだって可能で。
そして空くんは文系だから、もう数学をやらないだろうと。
橘くん賢い…。
でも、雨の日に傘を持ってないなんておちゃめだなぁ。可愛いなぁ。
あ、でもでも、風邪ひかなかったのかな…?
なんて心の中の葛藤は顔に表れていたのか、
「美憂、大丈夫か??」
なんて不思議そうに空くんに顔を覗かれてしまった。
「…っ!ぜんぜん!!ぜんぜん平気!」
まさか橘くんを可愛いとか思ってたなんて言ったら、ますます橘くんに嫌がられてしまうため、
悟られないように必死で頭をブンブン振って、にへらと笑った。