橘くん、今日もすきです
あずちゃんたちが暗闇の校舎へ消えてから約15分。
次は私たちの番。
「橘くん…。」
隣に橘くんがいても、やっぱり怖いものは怖くて。
さっきまでの強気な私!カムバック!って心の中で叫んでるんだけど、手足の震えが酷くなっていく一方だ。
きっと、橘くんを呼ぶ声も、震えてたんだろうなぁ。
自分が情けない。
「橘くん……、離れないでね…」
そう言って、服の袖をちょっとだけ、握る。
「はあ〜」
そんな私に降って来たのはため息で。
ため息、つかれちゃったって、ちょっと落ち込みかけたのも束の間。
「無自覚ってほんとたち悪い…」
そんな言葉と同時に私の右手は橘くんの左手の中にすっぱり収まった。