橘くん、今日もすきです
story・2
橘くんの連絡先
ある日、私は気づいてしまった。
「あずちゃんあずちゃんっ!たいへんっ!」
教室に飛び込むなり、大声で捲し立てる私に驚いてるのはあずちゃんだけじゃなくて。
クラス中のみんなになんだなんだと視線を向けられる。
は、はずかしい…。
でも、そんな場合じゃなくて!!
「どうしたの?」
小首を傾げたあずちゃんが可愛くて、女の私でも胸を撃ち抜かれそうになるけど、それを必死に堪える。
「あのね、私ねっ、」
「うん?」
「橘くんの連絡先もってないの!!」
こんなことだけで大騒ぎしてたら、呆れられるかな、とか。
ちょっと思ったけど、でも私からしたら大事件なんだ。
そんな重大なミスになんで私は今まで気づかなかったんだろう。
「え、もってないの?」
案の定、少し驚いた様子のあずちゃん。
「そう…、昨日連絡しようとして気づいた…」