愛奏～aikanade～

一人で帰るのは、この日が、始めてかも知れない。亜以と帰る時は、いつも時が経つのは早いと思ってたけど、一人で乗っていると、ゆっくりな時間が流れている感じがする。

ガタンガタンと、電車の揺れに合わせて、少し体が揺れる。

「次は～〇〇〇駅。お乗り換えのお客様は、こちらでお降りください。」

小さく流れるアナウンスから、聞こえる乗り換えの連絡。
私は、この駅が最寄駅なので、ここで降りなきゃ行けない。だけど、乗り換えのためにこの駅に降りる人が多くて、いつも人混みに流されていた。

駅に到着するにつれ、電車の揺れが次第になくなり、ゆっくりと止まった。
同時に扉が開き、中から人が、たくさん出ていく。私もその一人だ。

「ちょ…、すみません。」

激しくもみくちゃにされながら、やっとホームに着く。
ホッと、安堵の息抜きをしていると

「あの～、すみません。」