愛奏~aikanade~
「ホントすみませんでした。」

「いや、いいよ。須堂 明日香ちゃん。」

「!!?どうして私の……」

「そりゃ…生徒手帳に書いてあるから♪」

いきなりフルネームで、呼ばれてビックリして、全うな答えが返ってきて、また恥ずかしくなってしまった。

「そ、そうですよね…。」

「いちいち反応が面白いね~♪♪」

「…………。」

何も話せなくなってしまった私に、彼は私の頭に、自分の手をのせて、「今度は、落とさないようにしなよ。」と言って、去った。


私は、ただ彼が去ったホームを見ていた。彼は、私の名前を知ってる。私は、彼の事を知らない。


知ったのは、彼の手の温度だった。
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