愛奏~aikanade~
「あっ!!爽汰先輩。」

「よぉ、弘樹!!何?お前の彼女?」

「え?あ…、そうっす。」

弘樹君と、彼が親しげに喋っている。
私と、亜以は、ただその光景を見ているだけだった。

「弘樹。誰?」

「俺の部活の先輩の、谷崎 爽汰先輩。(たにざき そうた)」

「どうも♪亜以ちゃんだよね?いつも弘樹から聞いてるよ♪」

「えっ?ホントですか?」

先輩の言葉に、亜以の目がきらめいた。
「ちょ、先輩!?」

「うん、いつも亜以の話しばっか♪」

「そうなんですか?」

「ちょ、せ、先輩!!頼みますから、止めてください!」

かなり焦って止めに入る弘樹君。
私は、三人のやり取りを見てるだけだった。

「どうしたの?須堂明日香ちゃん♪」

「アレ?明日香の事知っているんですか?」

亜以が、不思議そうに、先輩に聞いた。

「うん♪ちょっとね…」

「???」

先輩の意味ありげな答えに亜以は、首を捻る。

「………よろしくね、明日香ちゃん。」

高校1年、春。これが、私と爽汰の出会いだった。
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