愛奏~aikanade~
「せ、先輩!?」

「ごめん…。俺がもう少し早く着いていたら、こんな事には、ならなかったよな…まぢごめん」

「先輩……」

先輩の悔しさでいっぱいというのが、強い腕の力で分かった。

だから、より一層私の好意によるときめき感と、少しの不安感が募った。

「…ありがとうございます。」

「い、いや…ってか、いつまでくっついてんだって話しだよな!!」

そういうと、先輩は慌てて私を離した。解放された腕は、先輩の暖かさがまだ残っていた。先輩は、少し赤くなった顔を指でかいていた。


「いえ。…あの~?何でさっき…」

「ん?」

「いや、さっき何でお、俺の…彼女なんて…」

私は、しどろもどろになりながら、自分の気持ちを伝えた。

「あぁ、いや、何となく…かな?」

「…そうですか…」

それを聞いた私は、頭を下げて落ち込んだ…。

「えっ!?い、いや…ご、ごめん…」

慌てて謝る先輩に驚きを感じた。

「え?何で先輩が謝るんですか?」

「いや…」

それきり、二人とも数分間黙ってしまった。

「…いこうか?」

「あ…は、ハイ!!」

先輩の合図で、ようやく私達は、歩き出した。

でもやっぱり、さっきの事もあったので、私達二人の間には、ほんの隙間が空いていたのを、今でも覚えてる。
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